
柴田あずさがお届けする、カインドフルなムービーセレクション。今回ご紹介するのは恩年81歳のフランスの至宝、カトリーヌ・ドヌーヴ様が、実在のフランス大統領シラク婦人を演じる『ベルナデット 最強のファーストレディ』。本国では初登場堂々の第一位になったコメディです。今はだいぶ変わりましたが「女性の人生は男性を支えてこそ!」なんていう時代の名残りに頭を抱える女性なら、共感する方も多そう。誰かのために自分の人生をささげた女性が反撃に出るさまは必見。たまには母娘で映画館に出かけてみてはいかがでしょう?
夫のために日陰に甘んじていた女性のクールな逆襲
ストーリーは1995年、シラクが大統領に就任した年からスタートします。夫を大統領にする為に常に陰で働いてきた元政治家のベルナテッド。そんな彼女の内助の功がようやく報われ、エリーズ官邸に移り住み、ファーストレーディとしての居場所を見つけられたかのように思えたのも束の間、彼女は夫や側近、そして広報を務める娘からも「古い」「メディア向きじゃない」なんて事を言われてしまいます。
「夫のために日陰に甘んじていたのに!このままじゃ私の人生は終われない!」と奮起したベルナテッドは、参謀の”ミッケ”ことベルナール・ニケ(ドゥニ・ポタリデス)と共にクールな逆襲をスタートさせます。
気さくなイメージで自分の犬に「スモウ」と言う名前を付けるなど親日家のシラク大統領ですが、ミシェル・ヴュイエルモーズが演じる今作のシラクは亭主関白で男尊女卑派、自分に注意が向けられないと愚図ってしまう困ったおじさん(笑)。浮気事件など「その真相はいかに?」というような驚きの内容も出てきますが、冒頭で教会のコーラス団が、「これはフィクションです。常に真実を描いているとは限りません」と合唱をしているのと、レア・ドムナック監督は「事実を自由に脚色した」と宣言しているので、史実と真実が入り混じっていそうな部分は、どうぞご了承くださいませ。
ちなみにこの映画シラクファミリーへの相談は全くなく制作されたというのだから驚きです!
ダサい、頭でっかち……さんざんな言われような女性が華麗に変身!
とにかくシラク大統領を始め側近たちはベルナデットを認めません。ファッションに関しても次女から「その洋服、綿菓子色?ふるっ!」などと言われます。この時、鼻で笑った運転手は後に巧妙な彼女の罠にハマり?痛快な結末を迎えることに。
一方、ベルナテッドは家族の中で唯一彼女を理解してくれている長女から、突然なぜかペットに「亀」をプレゼントされます。スローな様はベルナテッドを思わせますが、その愛亀の名前にフランスを代表するゴージャスな代名詞・マリー・アントワネットという名前をつけるあたりは、その後の華麗な変身を予感させてくれます。
ダサい、頭でっかち……さんざんな言われようなベルナデットですが、彼女はどんどん洗練されていき、シラク大統領をあたふたとさせていきます。
人前で話すことが苦手な彼女のコミュニケーションティーチャーとなったのは、先述の参謀・ベルナール・ニケ(あだ名が「ミッケ」または「ぼんくら」)。彼のサポートにより彼女は徐々に人前に出ていくようになります。若者を4千人集めたガーデンパーティーや、大統領婦人密着取材なども実行。そんな間もシラク大統領は電話をかけてきて、ベルナデットに「生牡蠣食べても良いと思う? 消化に良い?」なんて聞いてくるなど、お子ちゃまぶりを発揮。これには思わず失笑してしまいます。
愛しの亀にまさかの用足し?そこから始まる快進撃に注目
1997年にダイアナ妃が亡くなった日、シラクのパルレモでの浮気が発覚。ホントにやりたい放題の彼ですが、そんないざこざの中、ベルナデットの堪忍袋の緒がプッツンと切れる事件が勃発。なんとシラク大統領、ベルナデットの愛しの亀・アントワネットめがけて、まさかの用を足していたのです(驚)。・そこから始まる彼女の快進撃には注目です!
そんなある日、ベルナデットは柔道の金メダリストと共に病気の子供のための慈善活動に精を出していました。表に出だした彼女を見て慌てまくったのは、ファッション界の巨匠カール・ラガフェルドでした。彼は「時代遅れな古い服ではなく、最新のスーツを来て欲しい」エリズ官邸にやってきます。
「私のイメージダウンになるから!」と彼に懇願され、カールに言われるままに着替えたベルナデットは一皮剥けた洗練された女性に変わって行くのでした。
このベルナテッドがホントに美しい!これには「あっぱれ、ドヌーヴ様!」と、思わず声をあげたくなってしまいました。
その後もベルナデットは飛ばし続け、アメリカの当時のファーストレーディ(ヒラリー・クリントン!)と共にマスコミに現れたり、頭でっかちのイメージを払拭し、人間らしく温かい彼女の人間性を表に出して、国民の心を掴んで行くのです。(しかしシラクはいまだに彼女の存在を認めようとはせず。劇中のシラク大統領は苦笑い連発必須のほんとに困った頑固なおじさんです)。
そんな中、シラクは2005年、脳卒中で倒れてしまいます。強気でいたはものの、選挙では敗北。彼が「裏切り者」呼ばわりをしていたサルコジが政権を握ることになりますが、果たしてそこでベルナデットが取った行動には大注目です。さてシラクとベルナデット、手のひらの上で転がされているたは実はどちらだったのでしょう?
フランスらしいシュールなこのコメディ。観終わった後は笑い皺のケアを忘れずに(笑)。
■タイトル:ベルナデット 最強のファーストレディ
■コピーライト表記:© 2023 Karé Productions - France 3 Cinéma - Marvelous Productions – Umedia
■公開日:11月8日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開
■配給:ファインフィルムズ














