カインドフルな映画たち:『シビル・ウォー アメリカ最後の日』

柴田あずさがお届けする、カインドフルなムービーセレクション。今回ご紹介する映画は、アレックス・ガーランド監督の作品『シビル・ウォー アメリカ最後の日』。アメリカ大統領選挙(2024年11月5日)を控えた今年、政権の行方により不安定なアメリカでは、「こんな悲惨なことが起こり得るかも知れない?」という危機感を覚えさせるような映画です。ジャンルはアクション・スリラーですが、もはやホラーの域かも知れません。

設定も具体的?連邦政府から19の州が離脱?

ストーリーの舞台は、連邦政府から19の州が離脱したというアメリカ。アメリカでは「テキサスが独立するかも?」などという話が普通でもよく聞かれるようですが、そう考えるとこの設定自体が具体的でドキっとします。物語は大規模な分断が進み、[西部勢力]と[政府軍]による内戦が勃発という設定で進んでいきます。4人のジャーナリスト・チームは、14か月も一度も取材を受けていないという権威主義的な3期目”の大統領への単独取材を狙います。NYから約1300km,彼らは戦場と化した道を走り、ホワイトハウスを目指すのですが……。という、とんでもないディストピアなロードムービーです。

この作品・脚本を手掛けたのはアレックス・ガーランド監督ですが、彼は長編デビュー作「エクスマキナ」でアカデミー賞視覚効果賞を受賞した人でもあります。そんな才能も手伝ってか、映像からは現実的な緊迫感が伝わってきます。しかも彼がこの映画の構想を考え始めたきっかけはコロナ渦真っ只中だったそう。きっとそんな背景も影響に影響を及ぼしたのかも知れません。

息つく暇なしの109分、緊張の連続でドキドキしっぱなし!

映画はほぼ緊張の連続。いきなりの爆破、銃撃戦や暴力シーンが始まるなど息つく暇なしの109分で、ドキドキしっぱなしです。手持ちカメラで撮影を行うなどリアリティー感が溢れ、まるでニュースを見ているかのような場面もあります。

アメリカは本当に今、不安定と言われています。2021年1月のワシントン襲撃事件や、2度にわたって起こったトランプ氏の暗殺未遂事件……。特に6月にトランプ氏演説中に起きた暗殺未遂事件などに至っては、映画の幾つかのシーンが重なってしまうのです。この映画は何かを警告している?なんてことまで感じてしまいます。

それもそのはず。その臨場感を出すためにA24製作会社史上最高の製作費をかけたというのですから、実際に戦場にいるかのような感覚に陥ってしまうのも納得。ホントにリアル!!

戦争の恐ろしさを伝える主役の演技にも注目!

主役の戦場カメラマン、リーを演じたキルスティン・ダンストの演技にも注目です。強い精神を持ち自分に憧れる少女を必死に守りながらも突然PTSDを発症させてしまう姿を見ると、戦争がいかに人にダメージを与えてしまうかその恐ろしさも考えさせられます。

また映画の中で最も出演シーンが短いながらもインパクトを残した役者さんというと実はキルスティンのご主人ジェシー・プレモンスだったかも知れません。このシーンはホントにリアルでした。アメリカがいつの時代にも抱える人種差別を浮き彫りにするシーンもゾッとさせるものがあります。インパクトの大きいこと!

……ですが、これ以上のネタバレはなし。あとは観てからのお楽しみということで、是非映画をご覧ください。数々のヒット作を近年生み出している製作会社A24、公開のタイミングを考えると、ここ日本においても話題作となること必須です。

11月のアメリカ大統領戦を前に是非ご覧になってみてはいかがでしょうか?

『シビル・ウォー  アメリカ最後の日』
2024年10月4日(金)公開
公式HP:https://happinet-phantom.com/a24/civilwar/ 

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